「破産のススメ」出版のご挨拶

去る10月20日、私の初めての書籍である「破産のススメ」がAmazonのKindleから、電子書籍として無事発売となりました。

 プリントオンデマンドによる紙の本は、同時発売は叶わず、現在出版の手続きをしましたが、少し遅れての発売になります。おそらく10月27日頃に販売開始になりそうです。価格は1200円です。

 今年の三月に、もうこれ以上は経営の続行が不可能だと、私が経営していた会社と私自身の自己破産を決めました。それから諸々の手続きがあって、全てが終わったのが八月の初めでした。
 破産の手続きに入ってすぐに、この経験は本に書こうと思ったのですが、実際には、八月に入っても、まだ影も形もなく、ようやく原稿を書き始めたのは九月に入ろうかという頃でした。
 それから約一ヶ月、破産以前の悲惨な人生をほじくり返しながら、なんとか原稿を書き切って、それから読者にとって、特に実用書として必要な人のために、心情的な描写を大幅に削り落としました。正直、かなり痛みを伴う作業でした。
 それから書き上げた原稿を、章に分割しながら細部を見直し、なんどもなんども読んでは直しして、なんとか書籍の体裁が整って、今度は作家として、本名で行くのか、ペンネームで行くのかという問題になりました。
 当然破産したわけですから、堂々と本名というのもおかしいだろうということで、荒石誠というペンネームをつけました。
 今度はそれを出版するには、原稿をAmazonのKDPに上げられるフォーマットにしなければならないのですが、それも一から調べて勉強して試行錯誤して、なんとかできるようになりました。
 表紙も外注に頼むお金もないので、自分が撮り溜めた写真から選んで、自分で加工してデザインしました。
 今回書いた本は、破産の実際と、手続きの解説なのですが、一番必要としてくれるのは、私と同じように、厳しい経営状況の中小企業の経営者の方々です。そうなると、やはり紙の本が望ましいわけですが、それをどうするか? しばらく考えました。すると今はプリントオンデマンドという方法で、書籍のPDFデータさえ作成してしまえば、1冊から紙の書籍が出せることを知り、その為のデータも作成して、今は試し刷りの二冊目を待っているところです。一冊目は表紙のデータのサイズが少しズレていたのと、文章の行間が詰まりすぎていたので、修正したデータを送って結果待ちです。結果が良好であれば、すぐにそちらの方も発行できるように手続きする予定です。
 もうここまでくればそのまま出版してしまっても構わないのですが、こう言ったことに詳しい友人が、そのままじゃダメだと、色々とアドバイスをくれたのですが、最低でも公式サイトは作らなきゃ話にならないというので、araishimakoto.comというドメインを取って、レンタルサーバを借りて、触ったこともないワードプレスでサイトの構築をしました。ほぼ同時期にFacebookページと、Twitterのアカウント、それにそれまでやってきたInstagramを全てリンクして、この世に作家荒石誠を産み出したのです。
 一週間前に、報道関係にプレスリリースを作成して送りましたが、そちらの方は全く今のところ反応はありません。
 ここまで、原稿を書き始めるところから約二ヶ月の力技で、ほぼ全てを一人でやりました。おそらく原稿以外を外注したら、軽く六十万円はかかったでしょうが、とりあえず破産してからまだ仕事らしい仕事、いわゆる就職はしていないので、出版に関わる作業に明け暮れていました。
 この「破産のススメ」という本は、私がここにきてからアップしたような随筆とはかなり違っていて、内容も文体もかなり固いと思います。
 実際に、今回担当いただいた弁護士の法律監修も反映させていますし、研究者の論文レベルの校正がかなり入っています。
 大勢の方の応援のおかげでようやく形になりました。
 作業そのものは、ほとんど自分でやりましたが、ずっと寄り添うように励ましてくれた方がたくさんいます。
 ここに上げた随筆は、毒にも薬にもならないような短文ですが、「破産のススメ」を出版する理由は、経営苦や借金苦で自殺する経営者を一人でも減らせたらとの思いからです。
 そうした人たちが読んでくれたら、借金で死ななくていいってきっとわかってくれると思います。なにしろ私自身が何度も死のうと思いましたから。
 以上のように、かなりシリアスな内容なのですが、趣旨をご理解いただき、こういう本が存在することを、ご自身の周りで経営に苦しんでいたり、苦労している方がいらっしゃったら、ご紹介いただけたら幸いです。

長くなりましたが、発売にあたって、本を書いた本人からのご挨拶でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。